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バカーーー!!! 綺麗な青空の下…には似つかわしくない声が響き渡った。 I'll cry until a tear withers up―前編― 先程大声で叫んだ少女は本来ならば校庭で体育の授業を受けていなければならないのだが、少女がいるその場所は屋上だった。 つまり授業をサボっていたのだ。 学校中に響き渡ったであろうその声は、もちろん校庭で授業をしている体育の教師兼少女の担任の耳にも入っていた。 「相沢ー!!」と体育教師兼(以下省略)が少女を呼ぶと、少女はハッとし、もう手遅れなのだが自分の口に手を当て、身を隠すように縮こまり座り込んだ。 大声の主が少女――相沢唯だとわかってはいたがアバウトにこちらの方向にいるはず、としかわからなかった体育教師(以下省略)はキョロキョロと周りを見渡しただけで唯の居場所を特定することはできなかった。 唯はふぅー、と安心したように一息漏らすと体育教師(以下省略)に見つからないようにそーっと屋上の柵から顔を覗かせた。 顔こそ動きはしないが目だけをキョロキョロとさせ、校庭を右、左と"彼"を見落とすまいと捜している。 暫らく校庭を見ていると捜していた"彼"を見つけたのか、唯は柵に手をかけ立ち上がった。 唯が捜し出した"彼"はバスケットコート内を中々のスピードで駆け抜けていた。 敵がミスをしてシュートを外したボールをジャンプをし、高い位置でキャッチすると、その"彼"は素早いドリブルでゴールに向かう。 ディフェンスが"彼"の進行を妨げようと"彼"の目の前に立ちはだかると、"彼"は自分の左側で少し先を走る味方にパスをする素振りをした。 ディフェンスはパスカットを狙い少し左側に移動すると、その動きを見逃さなかった"彼"はディフェンスに向かってニヤリと口元を緩ませ、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。 そんな"彼"を見たディフェンスは「しまった!」という表情をする。 そう、ディフェンスは"彼"の仕掛けたフェイクにまんまと引っ掛かったのだ。 "彼"はディフェンスがガードにくる前に真上にジャンプし、シュートを放った。 "彼"の手から離れたボールは綺麗な弧を描き、シュパッ――と音を立ててゴールを通過した。 その瞬間、いつの間にか試合に見入っていた、同じく校庭で体育の授業を受けていた女子たちから「きゃー!!」と歓声があがる。 "彼"はそんな外野を気にしていない様子で味方と笑顔でハイタッチをかわした。 ポーッと試合に――いや、"彼"に魅入っていた唯は試合終了を告げる笛の音を聞き、意識をこちら側に戻した。 ――カッコイイ!カッコよすぎっ!! 唯の胸の鼓動はドクドクと波打ち、試合を終え、友達と話しながら水飲み場に向かっている"彼"を唯は自然と目で追っていた。 水飲み場で顔を洗っていた"彼"の元に三人組の女の子がやってきた。 "彼"が顔を上げると三人組の女の子の一人がタオルを差し出す。 だが"彼"は女の子に何か告げるとタオルを受け取らぬまま友達と共に水飲み場をあとにした。 唯は何だかホッとしていた。 "彼"が沢山の女の子たちからの歓声や声援を気にしない理由も、タオルを受け取らなかった理由も知っていたが、それでもやはりホッとしてしまうものである。 唯は制服のポケットにしまっていた携帯電話を取り出し時刻を確認すると、もう後2分ほどで授業の終わりを告げるチャイムが鳴る頃。 おもむろに立ち上がると唯は屋上から出て昼食をとるために教室へと向かって歩を進めた。 ガラガラと教室のドアを開けると一番乗りかと思っていた唯は一瞬面を食らったが、先にいた人物を見て頬を緩ませた。 唯「洋!見てたよー、ナイスシュート!」 唯はまるで自分のことのように嬉しそうにしながら言った。 唯より先に教室にいたのは先程まで唯が屋上で魅入っていた"彼"――宮森洋だった。 洋は少しだけはにかみ、唯の言葉に「おう」と返事をした。 残念ながら洋の友達――外間弘樹もいて洋と二人きりではないものの、唯は洋のはにかみ笑顔と短い一言だったが、洋の返事に微かに頬を赤く染めて、さらに嬉しそうに笑った。 唯は自分の鞄から弁当を取り出して、自分の席についている洋と弘樹の元へとかけ寄った。 座席は洋が窓際の一番後ろでその前が弘樹。 唯はちょうど洋との対角線上の位置、つまり廊下側の一番前だった。 席替えしたての頃はそれこそ自分のクジ運のなさを恨んだ唯だったが、席替えをする前の席が洋と近かったのだからまた近くに…なんて無理だったんだ、と思うようにした。 それでも席が離れてしまってしょぼくれていた唯に救いの神が現れたのはつい一ヵ月前のことだった。 その救いの神とは洋の友達でもあり唯のご近所さんでもある外間弘樹だった。 ご近所さんということもあっと何かにつけては騒ぐ仲でもあった弘樹は唯にとって唯一の男の相談相手だった。 もちろん洋と仲の良い弘樹に自分の気持ちを打ち明けるのにはかなりの勇気がいったが…。 そんなこんなで洋と席が離れしょぼくれてしまっていた唯を放っておけず、弘樹はいつも洋と一緒に取っていた昼食に唯を混ぜるように計らってくれたのだった。 そのおかげで今では唯と洋と弘樹は一緒に昼食を取るのが当たり前な仲になった。 洋と弘樹の間が唯のポジションでいつも通りそのポジションの席につく。 洋が淡々とコンビニの弁当を開けて食べ出すと唯と弘樹は声を揃えて「いただきまーす!」と言い、食べ始めた。 一緒に昼食を取っているとはいえ、元々口数の少ない洋は唯と弘樹の二人に比べるとやはり喋ることは少ない。 だが全く喋らないわけではないし、それに洋の好きなものの話を出せば二人の話を聞いて相槌を打つだけだった洋も自然と会話に入ってくる。 特に最近は洋と弘樹、そして別クラスの廣山直人と北尾一人、さらに二つ下の洋の弟の宮森涼、別高校の我如古大和とでバンドを組み始めたらしく、よくその話があがるので洋の口数も最初の頃に比べ、大分増えてきた。 唯自身はバンドを組んでいるわけではないがピアノをやっていて、しかも兄がベースをやっているということもあって話についていけないということはなかった。 洋「弘樹、そういや歌詞できたのかよ」 弘樹「もうちょっとかな…?」 唯「新曲作ってるの?」 洋「そ。だけど弘樹が中々歌詞完成しねぇんだよ」 唯「そっかー、ってあれ?いつもひろくん、歌詞書くの早いんじゃなかったっけ?」 弘樹「今回のはなんか言葉に詰まっちゃうんだよなー。あっ、唯なんかいい言葉ない?」 唯「どんな曲調?」 洋「ミディアムバラード…だったよな?」 弘樹「そうそう」 唯「ミディアムかぁ…んー。やっぱりメロディ聴いてみなきゃ何とも言えないかなぁ、テーマもあるし」 弘樹は「だよなー」と言い、椅子の背にだらん、ともたれかかった。 唯はそんな弘樹に「ごめんね、今度聴かせて」と言うと、洋が「謝る必要ねぇって。弘樹が考えなきゃいけない問題なんだし」と言う。 「洋ー冷たい!」といじけたように言う弘樹を洋はチラリと見るだけで、ペットボトルのお茶をゴクリ、と音を立てて飲んだ。 そんな二人の様子に唯はクスクスと笑いをもらした。 弘樹が何と言おうが真面目に取り合わない洋に演技ではなく、本格的にいじけ出した弘樹。 唯が子供をあやすようにして弘樹を宥めている時、教室のドアにもたれかかっていた、三人と同じクラスの男子が大声を出した。 「宮森ー!比嘉が呼んでるぞー!」 その言葉を聞くと洋は「んじゃ行ってくる」と唯と弘樹に告げて、立ち上がり教室のドアの方へと歩いていった。 だんだんと遠ざかりやがて見えなくなる洋の後ろ姿を、唯は寂しそうな目をして見ていた。 洋の後ろ姿が見えなくなると唯は弁当箱に向き合って、厚焼き卵を口に含んだ。 こんなこと、いつものことだ。と割り切っているつもりでもやはり寂しいし悲しい。 そう感じてしまうこの想いは消せないのだ、と唯は溜息にも似た息を吐き出した。 弘樹は唯の肩にポンッ、と手を置いた。 唯「弘樹…」 弘樹「ん?」 唯「んーん、何でもない。…いつものこと、だもんね」 弘樹「そうだな」 唯「あっ!ひろくん、今日もバンド?」 弘樹「休み。ここんとこずっとだったし、歌詞浮かんでこないから気分リセットしたい、て昨日直人に言ったんだ」 唯「そっか」 弘樹「あ、そうだ!久々に二人でどっか行こうぜ!」 唯は弘樹の言葉に「いいの…?」と少し首を傾げて聞く。 弘樹はニコッといつもの笑顔で「おう!じゃあどこ行くか決めなきゃな」と明るい声で言った。 唯はわかっていた、弘樹が自分に気を遣って言ってくれたのだと。 わかっていても唯は弘樹の優しさに甘えるしかなかった。 気にしない、と。どうしようもないのだ、と。これでいいのだ、と。 そう思ってはいるが、思えば思うほど気にしてしまう…洋のことを。 唯は自分を情けなく思っていた。 弘樹に甘えてばかりの自分に、洋のことをいつまでも気にしている自分に。 唯がそう考えている時に暗い顔をしていたのか、弘樹は「気にするなよ。俺さ、久々に唯と遊びたかったんだ」と言った。 「ひろくん…ありがとう」と唯は弱々しく微笑むと、今度は大声で「むぅーー!!」と叫んだ。 弘樹はそんな唯を優しい目で見つめ、同じ教室にいたクラスメイトは「唯ー、またなの?」と笑いながら唯を見ている。 そう、唯にとって大声で叫ぶのは自分の気持ちをリセットする役目を担っているのだ。 クラスメイトも最初こそは驚いたが、初めて唯が教室で叫んだときに弘樹が唯に代わって何故叫ぶのか説明した。 その時のことと、そしてもう何ヵ月も同じ教室で一緒に学校生活を過ごしているということもあって、クラスメイトは唯のその行為に慣れてしまっていた。 今では笑いながら唯を見守ってくれているのだった。 唯「えへへ…ごめーん。でももう大丈ー夫!」 唯がいつもの調子で言った。 それにクラスメイトは「相変わらずだなぁ…」と、やはり笑いながら言う。 唯はそんなクラスメイトの様子を少しだけ見やると弘樹に「ひろくん、今日どこ行こっか!」とニコニコしながら明るい声で言う。 弘樹「んー、唯は行きたいとこない?」 唯「あたしはどこまでオッケー。ひろくんに付き合うよ」 弘樹「そう言われるとなぁ…。じゃあ俺の一人ライブにご招待!なんてどう?(笑)」 唯「よーし!じゃあカラオケでストレス発散しよっと!」 弘樹「ちょ、俺の意見は!?」 唯「ちゃんと聞いたよ。だからカラオケに決定!」 弘樹「違くて、俺の一人ライ… 唯「ストレス発散にはカラオケだよねー!」 唯が弘樹の言葉をわざと遮るように言うと、弘樹は「このやろー!」と怒ったフリをして唯の首に腕を回して締める。 「ギブギブー!!」と唯が自身の首に回された腕を叩けば、弘樹は回していた腕を解き「あはははは!!」と愉快そうに笑う。 そんな弘樹に続くようにして笑い声をあげる唯。 日常茶飯事なこの二人の様子にクラスメイトも自然と目に入れてしまう。 そしてそんな二人を見るといつも思うのだ、「どうしてこの二人は付き合っていないのだろう…」と。 もちろんクラスメイトにそんなことを思われているとは二人は知る由もないのだが。 唯と弘樹の笑いが収まってきた頃、丁度よく昼休みの終わりを告げるチャイムの音が聞こえてきた。 その音にいち早く反応したのは唯で、またもや大きな声で「あー!ひろくんのせいでお弁当食べきれなかった!」と言う。 確実に聞こえているのは分かり切っているのだが、当の弘樹は聞こえぬフリをして自分の弁当を片付ける。 その様子をムッとしながらも唯は口の中に弁当の中身を詰めれるだけ詰め込むと、パパッと弁当箱を片付け、自分の席に戻る時にバシッ!と手の平で弘樹の背を叩いていった。 「イテッ!」と小さくもらしたのは他の誰でもない弘樹で、何食わぬ顔で自分の席に着席している唯を睨んだ。 もちろん斜めとはいえ、弘樹よりも前の席の唯は気付かない。 「あとで見てろよ…」と心の中で呟くと、弘樹は机の中から数学の教科書とノートを出した。 洋は未だに戻らない…。 チャイムの音とぴったり同時にガラガラ、とドアが開く音。 唯はまだ来ぬ洋かと思い胸を高鳴らせるが、教室のドアを開けたのは数学の教師だった。 唯はがっくりして、そして洋は欠課するのか、と結論に達し、誰にも聞こえぬように溜息をついた。 洋は授業に遅れるとその授業は欠課してしまう。 多分今頃は洋のサボリ場兼寝る場である屋上にいるのだろう。 どういった経緯なのかはわからないが、屋上の合鍵を持っているのは洋だけなのだ…いや、今ではバンドメンバー(大和以外)と唯も持っているが。 教師「ここで求めたようにcosθは…――」 唯の頭には教師の解説すら入ってこない。 完全に自分の世界に入ってしまっている。 ――窓から屋上を見たい…。 唯の頭の中は屋上にいるであろう洋のこと――洋たちのことしかなかった。 授業中に、しかも一番前の席でボーッと考えに耽っている生徒は教師にとって恰好の餌のようなものだ。 唯も例外ではなく、数学教師の餌食となった。 教師「相沢、どうやらその様子だともう問題が解けたらしいな」 嫌味を含んだ教師の声が唯の頭上からふってくる。 唯はハッとした。 唯「そ、そういうわけじゃ…」 教師「では何故ボーッとしていたんだ、ん?」 先程より一層嫌味を増した声。 唯は何も言えなくなった。 教師はニヤリとほくそ笑むと黒板に書かれた問題をコツコツ、と人差し指で叩いた。 教師「では前に出て解いてもらおう。相沢、前に出なさい。皆が答えを待っているぞ」 シーンと静まり返る教室。 隣や前後で話し合う声すら聞こえない。 唯はサッと教科書に目を移す。 問題が目に入ってきた。 ――右図のように直径9cmの球の中に立方体がちょうど入っている。さらにその立方体ね中には球がちょうど入っている。大きい方の球の体積をV、小さい方の球の体積をV"とするとき、V:V"を求めよ。―― 教科書に印刷された図と文章を交互に見るが、答えどころか何の定理を用いたらいいかさえわからない。 ――さっきまでsin、cosやってんじゃないの!?それだったらできたのに!! 唯は理不尽だとわかっていつつも怒らずにはいられなかった。 もちろん口には出さないが。 この数学教師の授業では前に出ろと言われれば前に出なければならない。 例え答えがわからなくとも前に出なければならない、そして自分なりの解答を――唯の場合は「わかりません」と――黒板に書かなくてはならないのだ。 唯は椅子を引いて立ち上がり、黒板の前に立った。 教師は依然ニヤリとほくそ笑んだまま唯を見ている。 唯は白のチョークを持ち、書き始めようとした、その時だった。 洋「遅れましたー…」 ガラガラと教室の後ろのドアが開く音と共に洋の眠たげな声が聞こえた。 唯は咄嗟に振り向いた。 授業が始まってから遅れて教室に入るなど今まで一度もなかったのだが、唯の振り向いた先には確かに洋がいた。 洋は少しウトウトしたままだった。 だが、しっかりと前を、教師を見据えている。 ふと唯が横を見ると怒りを露にした教師の姿。 唯は嫌な予感がした。 教師「宮森!どういうつもりだ!」 洋「すんません」 教師「すんません、じゃないだろう!何故遅刻したんだ」 洋「昼休みに空き教室で寝てたら寝過ごしました」 洋はまるで悪気がないかのように淡々と言い放つ。 それが教師の勘に触ったのは言うまでもなく。 ついに教師の火山活動もとい大爆発が始まった。 教師「宮森!だいたいお前は…――」 数学教師は授業中だということも忘れ、延々と洋の普段の授業態度について話し出した。 こうなってしまったらもう誰にも止められない。 クラス中の生徒の視線はマシンガンの如く喋り続ける教師と、普段と何ら変わりのない表情(つまり無表情なわけだが。)で話を聞き流しているように注がれていた。 数学教師が大爆発してから2分経過したが未だに収まる様子はない。 洋の表情も変わりなく、無表情のまま教師を見ている。 そんな二人を止めるかのように授業終了を告げるチャイムが鳴った。 その音にハッとした教師は「宮森!次遅れたら呼び出しだからな!…答え合わせは次の授業まで。各自やっておくように」とそう言って教卓の上の道具を持って教室を出て行った。 クラス中にはぁー、と溜息が広がる。 すると少しずつ教室に喋り声が戻ってきた。 唯は茫然と立ち尽くしたまま洋を見ると、洋はまるで何事もなかったかのような表情をしたまま席に着いていた。 弘樹が後ろを向いて何か洋に話しかけている。 唯は偶然だったとしても困っているところを助けてくれた洋にお礼が言いたかった。 唯の足は自然と洋の元へと向かう。 唯が洋に話し掛けようと口を開きかけた時に親友の大隅遥がトントン、と後ろから唯の肩を叩いた。 唯「――!?」 遥「ゆーい!さっきは災難だったねぇ」 唯「は、遥…。急に何かと思った」 遥「ごめんごめん。まぁ良かったじゃん?宮森がグッドタイミングで来てくれたんだし」 唯「うん。偶然…でも嬉しかった」 遥「健気だねぇ。私には宮森のどこがいいのかわかんないけどねー。無表情だし無口だし冷めてるし」 唯「でも洋は優しいもん!無口なんかじゃないよ!本当はよく喋るんだもん!それに笑顔だって優しくて、冷めてるように見えてすごく熱い人だもん!」 遥「あーわかったから、そう大きい声出さないの。宮森に聞こえるよ」 遥の言葉にサーッと血の気が引き、真っ青になる唯。 唯が自分でも大声を出していることに気づかないままムキになって話している間にクラスメイト全員に唯の言葉が聞こえてしまっていた。 それはもちろんすぐ側にいる洋にも聞こえていた。 普通の椅子の座り方とは逆向きに座っていた弘樹はあちゃー、というような表情をしている。 洋はというと頬を微かに赤らめて唯の方を茫然として見ている。 唯は完全にパニック状態に陥っていた。 唯が全力疾走で教室から飛び出そうとする前に洋が小さな声で――だが静まり返っている教室に響き渡るには充分だった――一言言った。 洋「サンキュー…」 唯はポケーッと洋を見たあと「ど、どういたしまして…」と言った。 二人がそれっきり黙りこくると次第に教室の至る所から冷やかしの声があがった。 洋は無視を決め込んだようで次の授業の準備をしだす。 唯は洋が何か言ってくれることを待っていただけに、洋の行動を見て焦り始める。 何か…何か弁解しなくては、と唯は考えを巡らした。 唯「そんなんじゃないのはみんなだってわかってるくせに!!」 唯は瞳から零れて落ちそうになる涙を必死に抑えながらそう叫んでいた。 考えを巡らせて辿り着いた弁解の言葉なんかではなく、自分自身でも想像していなかった言葉――それは唯の本音だった。 心の奥底に閉まっておくつもりだった、唯の心からの叫びだった。 誰もが想像していなかった展開にまた教室は静かになる。 遥さえも隣で泣きそうになっている親友を茫然と見つめたままだ。 唯はわかっていた、今の自分の台詞で勘の良い人には自分の気持ちがバレてしまった、と。 だが唯はどうすることもできなかった。 ずっと我慢していた分の涙が徐々に溢れ出し、今にも零れ落ちそうになるのを必死で抑えることしかできなかった。 しかしそれさえも限界をむかえ、ぽろり…と唯の瞳から一粒の涙が頬を伝った。 弘樹はその様子を見ると自分の鞄の中に教科書と筆箱をブチ込むようにして入れ鞄を持つと、唯に「もう帰るか」と言って唯の返事を待たずに唯の肩を掴み押すようにして唯の一緒に教室のドアへ向かった。 そのまま弘樹は先に唯を出て行かせ、唯の鞄の中に机の上に置かれている文具と教科書を入れてから鞄を持ち、「サボリの理由、誰でもいいから適当に言っといて」と言付けし、唯を追うようにして教室を出て行った。 教室は静まり返ったまま。 クラスメイトの視線は自然と教室のドアから洋に集まる。 洋の顔に浮かぶは悲しそうにも見える辛そうな表情だった。 後編 ***後書きと書いて反省と読む*** とりあえず前編。 一話にしようと思ったけど無理だった…。苦笑 サブキャラの弘樹さんの存在感が大きくて、ヒロインの唯ちゃんのお相手の洋さんが…。 後編も同じような…んーまぁ弘樹さんが活躍するのですが、洋さんが主ですので!笑 誤字・脱字を発見された方はコメントにてコソッと報告お願い致します(ペコッ |
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????c??????? 2006/03/02 10:52 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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ひろく〜〜〜〜〜〜ん(≧▽≦)やっぱいいヤツだ〜wwいいな〜同じクラスで!!しかもお弁当一緒に食べるだなんて!!ご飯が喉を通りません!!しかも変な弁当持っていけない。笑 |
うみ 2006/03/02 18:05 |
”彼”て誰やろ〜(*‘▽‘*)って、めっちゃドキX2ばくX2で読んでたら、洋兄ちゃんかぁーい(≧ω≦)!! |
DD* 2006/03/02 20:34 |
あ"−−−−−−−!!やべぃ!!弘樹と洋さんが学生だったら、こんな風であってほしいなぁってあたしが思ってる理想そのまんまのキャラ 笑 弘樹、やさしいなぁ〜〜〜♪勝手に実は弘樹は唯ちゃんが好きって裏設定をして読んでしまって、勝手に「弘樹、不憫やなぁ〜」って同情してました 笑 |
さりー 2006/03/03 03:21 |
Great work! |
Adrianna 2006/05/20 01:48 |
Nice site! |
Tonya 2006/05/20 01:48 |
Great work! |
Carl 2006/05/20 01:50 |
Well done! |
Samuel 2006/10/08 04:41 |
Well done! |
Ruth 2006/10/08 04:41 |
Good design! |
Justin 2006/10/08 04:41 |
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