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help リーダーに追加 RSS DreamNovel*すれ違いざまに―第六話―

<<   作成日時 : 2006/05/03 13:37   >>

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窓の外を見れば辺りは真っ暗で。
みんなの顔もほんのり赤く微酔い気分。










すれ違いざまに―第六話―










自分の周りには空き缶や空のビールビン。
隣の弘樹は直人とほんのりと赤い顔をしながらまだ開けたばかりの缶ビールを飲みながら雑談中。
どうやら次のラジコンの内容について話しているようだ。
お酒に強い涼は大和と飲ませ合いをしている。
飲ませ合いというより、明らかに余裕面の涼が大和にお酒を飲ませているように見えなくもないが。
逆にお酒に弱い洋は他のメンバーより顔を赤くして、缶ビール片手にテレビを見ている。
弘樹と直人の話には加われないし、だからといって涼と大和のところに行けばあたしも涼の餌食にされるだろう。
あたしは飲みかけの缶チューハイを持って、ソファーに座り、一人でテレビを見ている洋の元に近づいた。
驚かそうとそーっと近づいたつもりだったが洋はパッとこっちに振り向いた。


洋「何?」
ともか「一緒に飲もうかなぁーって。」
洋「ああ。どーぞ。」


そう言って洋は席を空けてくれた。
あたしは洋が空けてくれた場所に座り、テーブルに持っていた缶チューハイをおいた。


ともか「洋はいつもこんな感じなの?」
洋「ん?」
ともか「いつも一人で飲んでるのかなーって。」
洋「いやそんなことないよ。いつもはみんなと飲んでる。」
ともか「そっか…。」


なら何で今日は一人で飲んでるんだろうか。
もしかしてあたしがいるせいなのかな…と少し不安になる。
すると洋はそんなあたしの気持ちを見透かしたように「別にともかがいるから一人てわけじゃねぇからな。変に気にすんなよ。」と言った。
最初の頃とは全く違ったやさしい声音でそう言った洋にドキッとする。
同時にやはりこの人は周りを気遣うことのできる優しい人なのだと実感した。


ともか「洋も変な気、遣わなくていいからね。」
洋「ん?」
ともか「なんて言うかさ。洋は周りをよく見て冷静に状況判断するタイプじゃない?」
洋「そうか?」
ともか「弘樹とかも気遣ったりしてるけど、洋は弘樹みたいに騒ぐことってテレビとかでもあまりないでしょ?」
洋「…まぁな。」
ともか「だから常に周りに気を配ってそうだなーって。他のメンバーが騒ぐなら俺は様子を見とこう、みたいなさ。」
洋「…。」
ともか「こういうときぐらい気抜いたら?…なんて乱入者のあたしが言うことじゃないけど。」


あたしは、ハハハと苦笑いをもらしつつそう言うと洋は「サンキューな。」と言った。
その時の遠慮がちな洋の笑顔が綺麗で、あたしはその笑顔につられて照れながらも笑った。


洋「まさかさ、こんな奴とは思ってなかった。」
ともか「何が?」
洋「ともかが。」


こっちを向きながらニコッと笑う洋。
思わず顔が赤くなったのは言うまでもないことで…。(お酒のせいにしちゃうけど。)


洋「最初はマジでファンがくっついてきたのかと思ってさ。そしたら弘樹が収録中だってのにともかのこと話し出して。」
ともか「…。」
洋「まぁ…弘樹がそこまですんだから悪い奴じゃねぇんだな、て思ったけど。」
ともか「え?」
洋「料理もできて年下なのに人のことちゃんとわかってるし。」
ともか「そ、そんなことないよ。」
洋「今なら弘樹がともかを連れてきたのわかる気ィするよ、俺。」


缶ビールをゴクリと音を立てて飲むと洋はテレビの方に向き直った。
チラッと洋を見るとほんのり耳が赤くなっている。
自分で言っといて照れたのかな、なんて思うと少しだけ笑いがもれる。


ともか「あたしは未だに何で連れてこられたのかわからないんだけどね。」
洋「でも後悔はないだろ?」
ともか「寧ろ感謝したいぐらい(笑)」
洋「くくっ。じゃあ後で弘樹に言っとけ(笑)」
ともか「そうだね。正直あの時弘樹が女の子達に追われてなかったら、あたし一生ただのファンで終わってただろうし。」
弘樹「えっ!?ともかって俺らのファンだったの!?


急にソファーの後ろから大声を出して洋とあたしの会話に入ってきた弘樹に洋が鋭い目つきで睨む。
あたしは弘樹の言葉に「そうだけどいけないの?」と言うと、弘樹ではなく今度は直人が「そんなことないよ!」と答えた。
いつの間にかこっちに来ていた弘樹と直人に洋が「お前らうるさい。つーか邪魔。」と言いのける。
そんな三人が目に入ったのか涼が勧めるお酒から逃げるように大和がやってくると、そんな大和を追って涼もこちらにやってきた。
洋は次々と集まってくるメンバーをチラッと見てから小さく溜息をつき、あたしの方に向き直った。


洋「俺はファンのような気はしてた。」
弘樹「でもともか、全然騒がないじゃん!」
ともか「普段からそこまで騒ぎまくってるわけじゃないから。(多分。)」
涼「今までにないタイプっぽいな。」
弘樹「ってか俺、ともかからファンだ、て聞いた覚えない!」
ともか「だって言ってないもん。」
大和「何で言わなかったの?」
ともか「言わなくてもわかると思ってたの。」
弘樹「俺はわかんない!」
直人「お、俺も!」
洋「俺はわかってたけど。」
弘樹「洋には聞いてない。」
洋「………(怒)
涼「(洋が…!ふぉ、フォロー…っ!)ストラップ見ればわかるだろ。」
弘樹・直人「ストラップ?」


涼が言った言葉に反応した弘樹と直人はあたしに「携帯貸して。」と催促する。
あたしはポケットから携帯を取り出すとあたしの携帯は弘樹や直人ではなく、ひょこっと現われた大和の手に渡った。


大和「あー!ツアーグッズのストラップがついてるさ!」


大和が大声で言うと弘樹と直人はそれを確認しようと大和に迫った。


弘樹「ほんとだ…。全然気づかなかった。」
直人「ИATURALツアーのだ。もしかして来てくれたの?」
ともか「うん。すごかったよ、行って良かった!」
弘樹「うわー…てっきり俺らのこと知ってる程度かと思ってた。」
ともか「まさか。めちゃくちゃファンだよ(笑)」
大和「ともかぁー!俺どうだった?変じゃなかった?」
ともか「全然っ!大和、上手かったよ!シャウトとかも相変わらず凄かったし!」


ИATURALツアーライブのことを思い出し、少し興奮気味に言うと、大和は「ともかぁー!」と言って抱きついてきた。
突然のことにあたふたしそうになったが、大和に続いて「俺は!?」と次々にふってくる質問にあたふたしている暇などなかった。
一度ライブのことを話し出すと止まらなくなるのがもう癖のようになっているせいか、次々に言葉が出てくる。
直人に「CDとは違うギターアレンジかっこよかった!」と伝えると直人は頬を少しだけ赤らめた。
言葉に出して「俺はどうだった?」と聞いてくる弘樹や直人、大和とは違い、涼と洋はチラチラとこちらを見て何か言いたげにしているだけだ。
こういうところは兄弟そっくりだなぁとちょっとだけだが笑ってしまったのは秘密だったりする。


ともか「洋のベース、凄い体中に響いてきたよ!涼もライブアレンジした歌い方とかよかった!」


ライブのことを一つ一つ思い出しながら言う。
あの時のライブの興奮が戻ってきて自然と笑みがこぼれる。
洋と涼は照れくさそうにしながらも少しだけ微笑むようにして「ありがとう。」と言った。
大和、直人、洋、涼、ときたら次は弘樹だろうと予想がつく。
どうせなら少しからかってみようか、と企みつつも弘樹の言葉を待った。


弘樹「ともか!俺は?」
ともか「ない。」


そう言うと弘樹は一瞬目を大きく見開いてからしょんぼりしたような表情になる。
そんな弘樹の姿にぷっ、と笑いをもらすとあたしは弘樹の方を向いてニコッと笑った。


ともか「嘘だよ。弘樹の三線もギターもよかったし、歌声もきれいだったよ!MCも笑わせてもらったし(笑)」


あたしの言葉に弘樹より先に未だに抱きついている大和がクスクスと笑って反応する。
当の弘樹はぽかんと口を開いたまま茫然としている。
大和のクスクス笑いが伝染したかのようにあたしも笑い出すと、弘樹はハッとしてから照れ笑いを浮かべた。


弘樹「ありがとう。マジでなかったのかと思った。」
ともか「そんなことないって。本当によかったもん!」
弘樹「そう言ってもらえるとすげー嬉しい!」


そう言って弘樹は抱きついてくるような動きをした――が、動きは止まりニコニコしていた顔は一転しとムスッとした膨れっ面になった。
弘樹の視線の先には未だにクスクス笑いをしている大和の姿。
もちろん大和はまだあたしに抱きついたままだ。


弘樹「やぁま!!
大和「?」


少し怒気の交じった声音で膨れっ面をした弘樹に大和はとぼけるように首を傾けてキョトンとした表情を浮かべる。
そんな二人の姿に苦笑いをし、先程から声を殺すようにしながらずっとくくっ、と密かに笑っている涼に目線を移す。
涼はあたしの視線に気づき、もう一度くくっ、と笑ってから大和の方へと歩み進めた。


涼「やま先輩。」


まだほんの少しだけ笑いを噛み殺すようにしながら言った涼の一言に大和は「ん。」と小さく言って、あたしから離れると「ごめんね。」と呟いた。
果たしてそれがあたしに言ったのか、弘樹に言ったのか、はたまた涼に言ったのかはわからなかった。
大和が離れると今度は弘樹がニコー、としてあたしをぎゅっと抱きしめた。
思わず弘樹の頭を撫でると案の定ニコッとしていた顔がムスッとした顔に戻り、「子供扱いすんなよー。」と愚痴をこぼす。
ハハハ、と苦笑いをしつつ「ごめん。」と一応謝っておくことにした。




* * *




お酒を飲み始めてからあっという間に時間は経ち、時計の針は夜中の0時を回っていた。
気づけば買ってきた大量のお酒も底をつき、お酒に弱い大和と洋はソファにもたれかかったまま眠りについている。
他のメンバーも数時間前より赤くなった顔をしている。
涼にいたっては未だにお酒を飲んで、ウイニングイレブンをやっている。
弘樹もやりたそうにしているが、ゲームに関して無知である直人に引き止められていた。
あたしは勝手に部屋に入っちゃ悪いかなぁ、と思いつつも、リビングのすぐ隣にある部屋から大きめの毛布を持ち出した。
引きずりながら毛布をやっとのことリビングのソファまで持ってくると、それを眠っている二人を起こさないように優しくかける。
洋が「ん…。」と身動いたが起きることはなく、あたしはホッと胸を撫で下ろした。
大和と洋が眠るソファの向かい側にある一人用のソファに腰を下ろし、辺りを見渡せば、ゲームを中断している涼にちょいちょい、と手招きされる。
何だろう、と涼の横に座ると、涼の代わりにゲームをやっていた弘樹と直人もゲームを中断する。


涼「時間大丈夫か?」
ともか「平気だよ、この年になってまで門限とかないし。」
直人「今日はどうするの?もう帰る?」
ともか「んー。どうしよっかな…帰ったほうがいいのかな。もう大和と洋は寝ちゃってるし。」
弘樹「あの二人は酔い回るとすぐ寝ちゃうから気にしなくていいよ。」
涼「兄貴は普段からしょっちゅう寝てるしな。」


チラリと洋を見ると、いつもの無表情からは考えられないよな無邪気な寝顔にポケーと魅入ってしまう。
そんなあたしに気づいたのか涼は「笑顔と寝顔は可愛いんだけどな(笑)」と笑いながらそう言った。
(ちなみに大和は毛布に包まっているせいか表情は伺えなかった。)


弘樹「どうする?帰る?」
ともか「ん、そうだね。いつまでもここにいるわけにはいかないし…帰ろうかな。」
涼「俺らのことは気にしなくていいよ。ともかがまだいたいなら大歓迎だし。」
直人「や、やまたちは寝ちゃってるけど。」


「どうする?」とあたしの目をじぃーっと覗き込んでくる弘樹。
正直な気持ちは…まだ、もっと一緒にいたい。
ライブでしか同じ時間(とき)を共有できないと思っていた人たち。
そんな彼らと今こうして他愛のない話をして共有している時間をできる限り長くしたい。
できるのならこの先ずっとこうしていられればいいのに…、と考えれば考えるほど欲が大きくなっていく。
あたしの中にすっと入ってきて、どんどん彼らにハマっていく…それはまるで麻薬みたいに。
思わず溜息にも似た息をふぅー、と吐き出す。
あたしにはあたしの生活があるように彼らには彼らの生活がある。
朝になれば学校があって、嫌いな教授との目には見えない戦闘(バトル)があって、友達を愚痴をこぼしあって騒いで――また彼らを遠くから見るだけの『普通』だったはずの毎日が始まる。
今までの、普通の毎日が始まるだけなのに、そう思うと寂しいと感じる。
あたしはそんな気持ちにそっと蓋をした。

もう帰ろう、これ以上一緒にいたら引き返せなくなるまでのめり込んでしまうから。


ともか「あたしもう帰るよ。学校もあるし、レポート残ってるからさ。」
直人「そっか。そうだよね、ともかは学生だし。」
涼「この時間じゃ電車出てねぇし、一人じゃ危ないから弘樹先輩送ってけば?」
ともか「あ、いいよ。一人でも帰れるから。よく飲み会の後一人で帰ってるしね。」
弘樹「遠慮しなくていいよ。んじゃ俺、送ってくから後のことよろしくな。」
涼「了解。あ、ともか!弘樹先輩の運転すげーから気を付けたほうがいいぞ。」
直人「よ、よく洋が酔うしね!」
ともか「あははは!了解。肝に銘じとくね。」
弘樹「安全運転するって!今日俺、そこまで飲んでないし…。」


弘樹はそう言うと部屋の隅っこに無造作に置かれたジャケットを手に取り、袖に手を通し、「ちょっと待ってて。」と一言告げるとリビングを出ていった。
すぐに戻ってきた弘樹の手には車のキーが握られている。
テーブルに置かれていた携帯電話と財布を弘樹が取りに行っている僅かな時間の間にコートを着て、忘れ物はないかと入念にバッグの中をチェックする。
忘れ物なし、準備よし!と自分に言い聞かせると丁度よく弘樹が「それじゃ行こっか。」と言った。
別れを告げる涼と直人の言葉に「今日はありがとう。楽しかった!」、そして「寝ている二人にもありがとうって言っといてね!」と返し、一礼をしてから弘樹と共に部屋を出た。


駐車場に着くと、慣れた手つきで車のエンジンをかけ、さり気なく助手席側のドアを開けてくれた弘樹に促され、車に乗り込む。
あたしが車に乗り、ドアを閉めたのを確認すると、弘樹は温めていたエンジンを全開にし、アクセルを踏み込んだ。
洋が弘樹の運転に酔うという話と、別れ際の涼と直人の言葉を思い返す。
…確かに少し運転が荒い気がする。
深夜ということもあり、道路を走る車は少なく、信号もチカチカと光っているだけの所もあった。
そのせいもあってか、車の速度は少し速めで、弘樹がハンドルをきる度に若干体が横に傾くほどだった。

あたしは幾度となく「そこを右。」、「次は左。」と弘樹を誘導する。
それ以外はお互いに言葉を発さず、会話という会話がない時間が過ぎていく。
もともと渋谷が地元だったあたしの家はあっという間に着いた。
夜中の零時を裕に過ぎた時間でも渋谷駅周辺は若者や飲み帰りのサラリーマンがいる。
昼間より断然静かではあるが、まだまだシーンとした音のない世界は訪れそうにない。
そんな駅周辺より更に奥へ奥へと進んだ住宅街にある、何の変哲もないマンションの一室があたしの暮らしてる家だ。
マンションの前に車を停めてもらい、あたしは車から降りた。
弘樹も車から降りると自然に互いの視線が絡み合い、沈黙が続く。
「ありがとう。」とお礼を言って帰るべきか、「さようなら。」と一礼してからマンション内に入っていくべきか、と悶々と考えているうちに、結局何を言い出したらいいのかわからなくなった。
そんなあたしに代わって沈黙を破ったのは他でもない弘樹だった。


弘樹「今日は色々とありがとね。」
ともか「あ、いやそんな…こちらこそだよ。」
弘樹「鍋すげー美味かったよ!まさか東京で女の子の手料理食べれるとは思ってなかった(笑)」
ともか「あたしで良ければいつでも作るけど……なんちゃって!」


弘樹の言葉に反射的にそう答えてしまった後、ハッとし急いで誤魔化すような言葉を付け加えた。
あたしの頭はどうしよう、どうしよう、と思考回路爆発寸前。


弘樹「じゃあまた作ってもらおー!ってことでこれ、俺の携帯ね!」
ともか「…はっ?」


完全に思考回路停止。
……………。
ガシャン、と脳内の螺旋が音を立てたような気がする。
今、弘樹はなんて言った…?


弘樹「え、何その反応!?もしかして俺の携帯なんか知りたくない!?」


何やら弘樹がごちゃごちゃ言っているけれど、あたしの頭には入ってきてはくれない。
えーっと…弘樹はなんて言ってたっけ?

“じゃあまた作ってもらおー!”
作るって何を?…ああ、手料理だっけ。

“これ、俺の携帯ね!”
俺の携帯?ん?

………――――!?


ともか「うそぉっ!?
弘樹「―!?な、何が?」
ともか「だって…えっ!?あたしただのファン!えぇっ!?
弘樹「ともか、とりあえず落ち着いて!」


弘樹の言葉を理解した瞬間、頭の中がパニックになった。
いつもの落ち着きをなくしたあたしに弘樹は戸惑いながら何度も「落ち着いて!ね?」と呼び掛ける。
一分程経って、やっと落ち着きを取り戻すと弘樹がゆっくりと慎重に「何であんなに慌ててたの?」と言った。


ともか「だ、だって弘樹が…。」
弘樹「俺が何?」


不思議そうに聞く弘樹に少し俯き、「弘樹が携帯…。」とごにょごにょ言う。
そんなあたしの言葉を聞き取れたのか、弘樹は「ああ!だって教えなきゃ連絡取れないでしょ?」と屈託のない笑顔で言った。


ともか「あ、いやさ…ファンにそう簡単に教えちゃっていいのかなぁ…って。しかもあたしに…。」
弘樹「普段は教えないよ。そうそう教えてばかりだったら俺、大変なことになるし。」
ともか「じゃあ何で…。」


弘樹の発言の矛盾にあたしは眉を顰めて、あたしより10cm程高い弘樹を見上げる。


弘樹「そんなのともかだからに決まってんじゃん。」


弘樹はファンが見たら頬を赤く染めて「きゃー!」と叫んでしまうんじゃないかと思うほど、優しい目をしてはにかむように微笑みながらそう言った。
案の定、あたしも頬が熱くなるのを感じた…多分顔が赤くなっているだろう。
あたしが口を開く前に弘樹が自分の言葉に続けるように言った。


弘樹「俺も含めてメンバー全員、人見知りなんだ。でもともかとはすぐに打ち解けたでしょ?そんな子、そうそういないし…だから、うん。また会えたらなぁ、て。」


嬉しくて涙が出そうになるのを必死に堪えて、目の前の弘樹を見据える。
自分の中でもう答えは決まっているのになかなか出てきてはくれない言葉。
うんともすんとも言わずに口を金魚のようにパクパクさせているあたし。
そんなあたしに「あははは!」と弘樹が笑い声をあげる。
その姿を見て、やっと身体の中に酸素が行き渡ったような気がして、はぁー、と息を吐いた。


ともか「あたしも…うん、弘樹たちとまた、…会いたいな…。」


呟くようにしか言えなかったのに弘樹はちゃんと聞いててくれていた。
「マジ!?やった!!」と拳を握り、小さくガッツポーズをした後、弘樹はジャケットのポケットから携帯を取り出す。
ピピピ、と素早くボタンを押すと「はい、じゃあここにメールでも電話でも何でもいいから連絡ちょーだい。」と言って、携帯の液晶画面を見せた。
緊張で小刻みに震える手で急いで弘樹の携帯番号とメールアドレスを携帯の電話帳に登録する。
何とか登録し終えると、それを確認した弘樹は携帯を閉じ、ジャケットのポケットへと戻した。


弘樹「よし。じゃあ時間遅いし、ずっとここにいると冷えちゃうから、ね?」
ともか「う、うん。そうだね。じゃあ…あたし帰るね。」
弘樹「ん。ともかが見えなくなるまでここにいるから。」
ともか「じゃあ…また…ね?」
弘樹「何で疑問なの(笑)また会おう!連絡待ってるから!」
ともか「うん。連絡、絶対するね!それじゃあね!」


「じゃあなー!」という弘樹の言葉を背に受けながら小走りでマンション内に入った。
エレベーターに乗りながら窓から外を見ると、弘樹の車がUターンをして元来た道を戻っていくのが見えた。
特に走らなくちゃいけない理由なんてないのに自分の家のドアまで走った。
コートのポケットから鍵を取り出し、ドアの鍵を開ける。
極力音を立てないように忍び足で自分の部屋に向かう。
ガチャ…、と小さく音を立てて自室のドアを開けると、バッグを投げ出して、パフッとベッドにダイブした。
はぁー、と大きく息をはいてから先程からずっと握りしめたままの携帯電話を見つめる。
カチッ、と折畳みの接続部分のボタンを押して携帯を開くと、いつもの待ち受け画面――ORANGE RANGEメンバーが目に入る。
ピッ、ピッ、ピッ――と携帯をいじり、電話帳を開く。
あ行、か行、さ行、た行、な行、は行……そしてま行に移る、その一つ前で操縦キーの動きを止める。

―――『外間 弘樹』―――

カーソルをそのままにし、ピッ、とボタンを一回押す。
画面に映るのは弘樹の携帯番号とメールアドレス。

やっぱり夢じゃない…。

携帯を折り畳み、ぎゅうっと抱きしめる。
ゆっくりと目を閉じると、幸せな気分に浸ったままのあたしを睡魔が襲い、すーっと眠りのいう名の沼に沈んでいった―――。



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***後書きと書いて反省と読む***
あうぅ…。。六話終了。
まるで先が見えなああぁぁぁいぃ!!!いつまで続くんだYOH…orz
せめて十話以上にはしたくない…。うん、頑張ろう。
とりあえずヒロインちゃんと弘樹さん、メアド交換ー♪
な、なんとか計画通りにキャラが動いてくれたよ!最後だけ!(何)
さて、これからどうなるんでしょーかね…ははは。
あっ!皆さん、ここの弘樹みたいに飲酒運転はしちゃダメですよ(笑)

誤字・脱字を発見された方はこっそりとコメントにて報告お願い致します(ペコッ)

お題配布サイト:リライト様より「ラブラブの二人への○○の行動」

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e-アフィリ
2006/05/03 18:18

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